パフォーマンスを高める心理学「5つの理論とスキル」
1.マズローの五段階欲求
マズローの五段階欲求とは以下の図のように、欲求にはレベルがあり、下位の層が満たされて、上位の層を満たしていくという考え方です。
私たちの欲求をピラミッド型で表した時、土台となるのは、生きていくために必要な睡眠や食欲、排泄や性欲などの本能的な生理的欲求です。
その上が寝る場所が確保されて安心して生活できるという安全欲求、そして仲間や友達、また家族といった他者とのつながりを持ちたいという社会的欲求、そして認められたい、尊敬されたいといった承認欲求です。
そして最後が、自分の能力や才能を存分に発揮したいという自己実現欲求と呼ばれるものです。
繰り返しになりますが、この説の大切なポイントは、低層の欲求が満たされて、初めて上の層を目指すようになるということです。
ですから、下の階層が満たされていない時に上の階層を目指そうとすると、バランスを欠いてしまい、ストレスを感じやすくなります。
自分の今を確認し、次の課題は何かを見出す時に役立ちます。またあなた以外の人にもこの階層でみると、適切な関りが見えてくる指標になります。
2.フロー理論
フローとは、「集中している」「没頭している」「夢中になっている」といった活動に没入している状態で、自己コントロール感や高いパフォーマンス、また活動そのものへの喜びが生じている状態のことです。
つまり質の高いモチベーションが生まれています。では、どのようにそういった状態を維持し、管理していくのか、その視点をお伝えします。
下の図を見てください。
最初は何かに向けて取り組もうとする(A1)という領域のフロー体験が起き、しばらくすると同じ課題では退屈状態が起きます(A2)。
この時、課題を高くすることによって(A4)という領域のフロー体験をすることができます。
また(A1)から課題を高く設定し過ぎてしまうと不安領域(A3)に入り、スキル開発をしながら、(A4)の領域に入るという流れが生まれます。
このような考え方を仕事や人生に置き換え、今必要なのは、スキルの開発か、また課題の調整かという視点で、モチベーションの維持や向上に役立てることができます。
3.メタ認知
メタ認知のメタとは「それを越えて」という意味で、知っていることは何かがわかっている、つまり認知の認知のことで、自分の思考や行動そのものを客観的に認識することです。
例えば不安やイライラといったストレス状態にあるのであれば、以下に紹介する4つのステップで認識すると、ストレスの解放からやる気といった状態に変化させやすくなります。
これはスポーツ心理学者のジム・レーヤーらによるパフォーマンスを発揮する4つのステップです。
消極的で無気力な状態の「ローネガティブ」
緊張状態はなく、現実逃避気味な「ローポジティブ」
ヤル気はあるが、不安定でイライラした状態の「ハイネガティブ」
ヤル気があり、最高の状態を発揮する「ハイポジティブ」
つまり、緊張や不安、イライラは、「最高の状態を発揮する一つ前のステップ」だと認識することです。
こうすることで、順調なステップで進んでいる証という認識をすることができ、建設的な捉え方をしやすくなります。
続きはまた今度!